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第9話 椅子の歴史 近世 〜バロック〜ロココ
バロックの椅子
17世紀になると、今までのルネッサンスの人間中心の考え方に対して、人間は自然の空間と一体であるとするバロックの考え方が生まれます。
バロックの椅子は、ひと言でいえば、豪華絢爛です。
当時の貴族社会は、その家柄と地位が重んじられ、室内の装飾も家具も、それにふさわしいものが用意されていました。
椅子だけでなく、壁、天井、机などの家具のすべてのものがひとつの空間として演出され、かざりつけられました。
バロック期の椅子は、社会的権威の象徴としての性格を強くしていったのです。
ロココの椅子
ロココとは、フランス語のロカイユ(貝殻)からきた、18世紀の文化をあらわす言葉です。
18世紀初頭、パリ社交界の女性たちは窮屈な宮廷生活からの解放を欲し、ベルサイユ宮殿に代表される、サロンと呼ばれる優雅な社交会がさかんに開かれるようになりました。
その貴族階級の世相を反映して生まれたのがロココ様式の家具で、その装飾意匠はいかにも女性らしく優美なものでした。
椅子の形には、当時のファッションの影響があらわれ、広がったスカートでも掛けやすいように、全体に前広がりで、座面の前幅が広く、肘が後退して小さくなりました。また、背や座にはすべりのよい絹のタペストリーが上張りされたものもあります。
このころの椅子の変遷は、脚部に見ることができます。
18世紀、バロック様式が盛んな頃の椅子の脚は、繊細な曲線を描くルイ15世スタイルが主流です。このスタイルは、現在も同じように作り続けられています。
18世紀後半になると、椅子の脚は直線の先細りとなり、コリント式の溝が刻まれるなど、荘重感のあるデザインへと変化していきます。コリント式というのは、ギリシャ建築に見られる柱のデザイン様式です。
この脚のデザインの変遷は、やがて近代のネオクラシシズム(新古典主義)へと変化していくのです。
(つづく)
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