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第8話 椅子の歴史 近世 〜ルネッサンス
14世紀の中世末期、ヨーロッパでは都市経済の発展とともに、市民の生活や意識も向上してきました。
今までの、権威を第一とする封建的考えをこわして、人間の精神や能力、個性を大切にしようという考えが広まり、文化運動「ルネッサンス」が興ります。
ゴシックの強烈な宗教的精神から、人間性と人文主義とを重んずるルネッサンスへの変革は、ギリシャ、ローマの古典精神の回帰と人間個性の復活でした。
イタリアのフィレンツェを中心に始まったルネッサンスは、ギリシャ、ローマの古典文化を手本に、文学や美術、建築、自然科学などが飛躍的に発展しました。
ルネッサンスの椅子は、上流階級のものにその特徴をみることができます。
イタリアのサボナローラと呼ばれる古代ローマ風の折りたたみ式の椅子や、カッサパンカという長椅子などは、宮廷の社交用の椅子として普及しました。

こうした椅子は、フランスやイギリスの上流社会でももてはやされ、貴族の婦人たちのファッションの流行に合わせて、華やかで洗練されたものになっていきました。
しかし、これらはあくまで貴族や上流社会での椅子の変遷で、一般の庶民は背もたれのないスツールやベンチなどの素朴なものでした。
ルネッサンス花盛りの15世紀末から16世紀にかけてのヨーロッパは、大航海時代でもありました。
ポルトガルとスペインを先頭に、各国が次々と新しい世界へと進出していきました。
日本には1543年、種子島にポルトガルが漂着したのをきっかけに、さまざまな文化が伝えられました。そのとき、椅子も入ってきたのですが、日本では椅子に座るという習慣は定着しませんでした。
なぜでしょう。
考えてみればとても不思議なことです。
このあたりのことは、章をあらためて研究してみたいと思います。
いずれにせよ、ルネッサンス期のヨーロッパの世界進出により、椅子も世界に広がっていくことになるのです。
(つづく)
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