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第10話 座り心地とエルゴノミクス その3
座り心地とはどのようなことを指すのか、また、座り心地とはどんなことに影響されるのか、ということを見てまいりました。
エルゴノミクスの視点から見ますと、座り心地とは体圧の分散と血流などが関係し、快・不快を感じるものであるということがわかりました。
一方、座り心地には他の視点からのアプローチもあることを忘れてはなりません。
エルゴノミクスは、「知覚情報」を取り扱うとお話ししました。
→第5話 エルゴノミクスの判断
座り心地の中には、身体の生理的反応とともに、座ったときの硬さ、肌ざわりなどの価値、評価といった要素も重要な位置を占めています。
これらの要素は、アンケートによって測定することになります。
椅子の乗り心地を調査したところ、人は平均的に下記の順に判断していくのだそうです。
座り心地の判断の順番
- 座面、背もたれの硬さは適当か
(ややゆったりした感じを好む傾向あり)
- 座面、背もたれのフィット感は満足できるか
- 座面幅、背もたれ幅が充分かどうか
(ややゆったりした感じを好む傾向あり)
- 腰椎の支持位置は適当か
(腰のあたる位置程度の捉え方をしたうえでの評価)
- 肘掛けの高さ、幅、左右の間隔は適当か
(肘掛けに腕をのせてキー入力をする人の場合(男性に多い)判断基準としては乗せない人よりも重要視される)
- 大腿部の支持圧は適当か
(ほとんど気にしていないが、座面の高さが適当でないと圧迫されて、この点に注目することになる)
これは、あくまでも統計上の平均値です。
人によって重視する項目は当然異なるでしょうし、同じ人でも気分や体調によって順番が異なることは大いにあります。
ただ、上記の項目を総合して、座り心地のよさを判断していることは間違いありません。
エルゴノミクスにおける「座り心地」は、工学的には「体圧分散」を効果的におこなうことであり、心理学的には椅子に触れたときの硬さやフィット感といった要素をできるだけ明確にあらわすことになります。
エルゴノミクスの特長は、さまざまな分野からのアプローチを総合的に見ていくことであり、それだけに数値ではあらわせない曖昧な要素も含みますが、このような「おおよそ」のような結果を包含することの方が、数値を明確に突き詰めていくよりは、かえって正しいのだという立場をとるあたりではないでしょうか。
(つづく)
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