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第9話 座り心地とエルゴノミクス その2
座り心地を「体圧」という視点から見たとき、できるだけ広く、一点にかかる圧力を少なくすることが、快適な座り心地を得る条件であり、それには下脚高=座面高と設定することがベストであることを見てまいりました。
ということは、座り心地の悪い状態というのは、これを満たしていない状態、すなわち、一部分に体圧をかけてしまっている状態であると考えられます。
姿勢が悪いと、体圧を偏らせてしまい、身体が痛くなったり疲れたりするということもうなずけます。
体圧の偏りによる影響は、腿やお尻、腰ばかりではありません。足の「むくみ」も、これらが影響しているのです。
むくみとは、ふくらはぎが張った感じや、足先が張った感じ、足の甲が張った感じ、あるいは靴がきつくなるという症状として自覚されます。
むくみは、正式には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、細胞や血管のすき間を埋める間質に水分がたまる現象をいいます。
むくみの原因は、体内の水分循環の阻害にあります。
それに大きく関係しているのが血液で、特に静脈の血流が大きく関係しています。
むくみのメカニズムについて見てみましょう。
心臓から押し出された血液は、大動脈、小動脈、そして毛細血管の順に流れています。このとき、毛細血管から細胞に染み出してくるものがあります。リンパ液です。
染み出したリンパ液は、通常リンパ管を介して血液に戻るのですが、戻らずに近隣の細胞に吸収されてしまうものもあります。リンパ液が細胞にたくさん吸収されてしまうと、むくみとなるのです。
すなわち、むくみは血液の循環が阻害される状況において起こります。
座っていてむくみが起こるのは、座ることによってお尻や太腿のあたりの血流が悪くなるためです。そして、その原因とは、過度な圧迫によるものなのです。
図をご覧ください。
アップライト(背もたれに頼らず座る姿勢)で10分間座り続けると、平均で3%程度のむくみが生じます。
しかし、その後10分間休憩をとると、もとに戻り、さらにリクライニングの姿勢をとると、むくみがさらに減少することがわかります。
休憩をとることや、リクライニングの姿勢をとることは、むくみをもとに戻すのに非常に効果的です。
このように。座るときの体圧を分散させることは、血流の滞りを防ぐことにもつながり、そのことはさらに、足のむくみを防ぐことにつながるのです。
念のため申し上げておきますと、むくみには病的なもの(心臓性、腎臓性、肝臓性などがある)と、日常的なもの(長時間にわたる同じ姿勢の保持などを原因とするもの)があり、ここで取り上げたのは、日常的なむくみについてです。
(図表:『図説エルゴノミクス入門』野呂影勇・培風館 より抜粋)
(つづく)
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