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第8話 座り心地とエルゴノミクス その1
エルゴノミクスは、人間と機械との関係を研究する学問です。
ですから、椅子へのエルゴノミクス的アプローチは、人と椅子との関係を研究することにほかなりません。そして、人と椅子との関係とは、簡単にいえば「座り心地」のよしあしになるのです。
人間と椅子との関係を考えてみましょう。
一般的に、椅子には足、座面、背もたれがあり、それらが人間の身体と一対一に対応しています。
人が椅子に座るとき、基準となるのが、椅子の高さです。
椅子の高さは、座面の高さを指します。
つまり、座面の高さが、人と椅子との関係の、最も基本的な部分となるわけです。
座り心地のよい椅子を考えるとき、座面の高さはとても重要です。
では、座面の高さと座り心地とは、何か関係があるのでしょうか。
結論から申しますと、座る人の下脚(ひざから下)の長さと、椅子の座面の高さが同じであれば、その椅子の座り心地は最大であるといえます。
これは、座面の高さによって、人の腿やお尻にかかる圧力が変化するからです。
座面が高すぎると、足が地面から離れてしまい、足全体の重さがお尻から腿にすべてかかり、全体の圧力が高くなります。また、座面が低すぎると、腿が座面から浮いてしまい、お尻にだけ圧力がかかることになります。ですから、座面の高さの変化は圧力の変化となり、座り心地に大きく関係するのです。
身体の一部を圧迫すれば痛みが生じたり、血液の流れが阻害されたりするといった不快感を生じる、すなわち、座り心地が悪くなるのです。

ということで、圧力はなければないほどよいのですが、椅子の座面で体重を支えている以上、そうもいきません。
ですから、広い面積でなるべく均等に支えれば、単位面積あたりの圧力は低下します。すなわち、痛くなりにくいわけです。
下脚部の長さ=座面の高さと設定すると、お尻から腿へと圧力が分散し、接する面積も広くなるため、単位面積あたりの圧力が小さくなり、結果、座り心地が最もよくなるのです。
(図表:『図説エルゴノミクス入門』野呂影勇・培風館 より抜粋)
(つづく)
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