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第6話 「座る」とエルゴノミクス その1
さて、ここからは、「座る」ということへのエルゴノミクスからのアプローチを見ていきたいと思います。
「座る」とは、英語で「シーティング(Seating)」と呼ばれています。厳密にいうと、正確な訳語ではないのですが、ピッタリと合う日本語がないため、「座る」「座ること」「座るという動作」などと訳されています。
エルゴノミクスの領域から「シーティング」を見る場合、次の2つの側面からのアプローチが考えられます。
ひとつは、椅子を、座る人にとってどのように使いやすくすることができるかという「フィッティング」と、もうひとつは、いかに多くの人に合わせられるかという「アジャスト」です。
フィッティングは、ある個人に最適な使いやすさを探究する方向性であるのに対して、アジャストは、多くの人が使いやすいと感じる共通の接点、いわば最大公約数を求めるものだといえます。
理想のシーティングは、究極のフィッティングにあるといえますが、それでは椅子を各個人の完全オーダーメイドにするしか成立しなくなります。
エルゴノミクスは、椅子の商品としての側面をも考慮に入れなければなりません。ですから、理想の椅子というのは、フィッティングとアジャストが高次元にバランスされた椅子だといえるのではないでしょうか。
エルゴノミクスの視点から理想の椅子を考えると、そのような椅子が浮かんできます。
話は変わりますが、エルゴノミクスでは、人間の動作・行動の中で、座ることの特徴を次のように定義しています。
●座ることの特徴
- 目覚めている。→覚醒水準が高い。
- 精神活動が活発
- 視野が広い
- 身体が安定している
- 心理的に安定している
- 一部の筋が緊張している
- アイコンタクトを保つコミュニケーションが実現する
※覚醒水準=頭がはっきりしている、眠っておらず意識がある、持続しているという意味。
座るという動作は大変アクティヴで、外部とのコミュニケーションの準備もよい状態にあることが、この定義からうかがえます。
何より、身体、そして心が安定するという面に注目すべきでしょう。
座ることは、私たちに心身両面での安定をもたらすといえます。
(つづく)
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